石川勾当作曲 Composed by Ishikawa Koto

「新青柳」"Shin-Aoyagi” (New green willow)

 

Green Willows Spirit based on Noh play and the Tale of Genji

(演奏:三絃 奥山聖子 箏 小野真由美 尺八 善養寺惠介)

 

 

 

「新青柳」は、19世紀前半に、石川勾当によって三絃の作曲がされ、八重崎検校によって箏の手付がされました。

 

歌詞は、能「遊行柳」の謡曲からきています。老木の柳の精が、昔見た出来事を旅の僧侶に語るという設定です。その出来事とは、源氏物語の「若菜」の話がベースになっています。光源氏の親友の息子、柏木が、六条院の庭で蹴鞠をしている最中、部屋から飼い猫が飛び出してきます。猫につけていた綱がひっかかり開いてしまった御簾の影にいた女三宮の姿を、柏木が偶然見て心を奪われる、というシーンです。年老いた柳の精が、若い頃、宮中の庭で見た出来事を、思い出として語る、そういう筋書きの歌詞です。

 

手事と中チラシのメロディからは、老木が若い頃に垣間見た眩しい思い出を、旅の僧侶に語り、僧侶の数珠が、今にも倒れそうな老木の魂を慰める、そんな雰囲気や流れを感じます。

 

 

 

今回の演奏は、5月ということで、柳の新緑の頃をイメージして選曲しました。「それを習うのはまだ早い」と言われかねない私に、小野先生は1年間本当に辛抱強く指導してくださいました。最初に譜面を見たときは、それほど難しい曲に思えなかったのですが、見えない部分に多くの課題がありました。それらを根気よくご指導頂いたことを心から感謝しております。

 

 

 

企画制作:三曲歌ざんまい実行委員会