八重衣 “Yaegoromo” (Eight-hold garment)
For five selected waka poems associated with garments from the Hyakunin Isshu
石川勾当作曲 Composed by Ishikawa Koto
(演奏 三絃 稲毛田麻美子 箏 小野真由美 尺八 善養寺惠介)
八重衣は、19世紀後半に京都で活躍した石川勾当により三味線の曲として作曲され、後に八重崎検校により箏の手付けがされました。地歌のなかでも複雑な構成と技巧をこらした風格のある大曲とされています。
曲の構成は、前唄ー手事三段ー散しー中唄ー手事ー散しー後唄と非常に凝った作りになっています。唄の節も器楽部分も非常に凝っています。今回は、この大曲の前唄の一部を演奏しております。
八重衣の歌詞は、小倉百人一首から「衣」にちなんだ四季の歌を5首集めたもので作られています。出だしは光孝天皇の歌「君がため 春の野に出でて若菜摘む わが衣手に 雪はふりつつ」から始まります。今回、この大曲のどの部分を演奏するかとても迷ったのですが、この和歌を地唄でどう表現しながら演奏するか深く考えようと、この部分を集中してひたすら練習することに決めました。地唄の節回し、細かな技巧を細部にわたって教わり、とても苦戦しましたが、先生のお言葉「唄は語るように」を心がけ、和歌の情景が少しでも浮かぶような演奏になればと思っています。
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